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岐阜家庭裁判所大垣支部 平成7年(家)46号・平7年(家)47号・平7年(家)48号

主文

1  被相続人植村鉄三、同植村朝子及び同植村佳子の遺産を次のとおり分割する。

<1>  別紙第1目録1、2、10及び17の不動産を、申立人の取得とする。

<2>  同目録14の不動産を、相手方植村由美の取得とする。

<3>  同目録3、9、11及び12の不動産を相手方川島英代の取得とする。

<4>  同目録5及び8の不動産を、相手方北山敦子の取得とする。

<5>  同目録7及び15の不動産を、相手方栗山啓子の取得とする。

<6>  同目録4、6、13及び16の不動産を相手方須永好子の取得とする。

2  本審判確定の日から6か月以内に、

<1>  申立人は、相手方植村由美に対し178万4282円を、相手方北山敦子に対し55万1564円を、相手方栗山好子に対し247万6282円を、相手方須永啓子に対し166万6532円を

<2>  相手方川島英代は、相手方北山敦子に対し31万4718円をそれぞれ支払え。

3  鑑定人滝本将一に支払った鑑定費用25万円は、これを6分し、申立人及び相手方らはそれぞれその1を各負担とする(ただし、1000円未満は四捨五入)。

理由

一件記録による当裁判所の事実認定及び法律判断は、以下のとおりである。

1  相続の開始、相続人及び法定相続分

被相続人植村鉄三(相続人らの父)は昭和28年9月27日死亡し、被相続人植村朝子(相続人らの姉妹)は昭和37年6月14日死亡し、被相続人植村佳子(相続人らの母)は昭和45年11月14日死亡し、それぞれ相続が開始した。

相続人らは、被相続人植村鉄三、同植村佳子の子供であり、同植村朝子の兄弟姉妹である(別紙相続関係図参照)。

法定相続分は、申立人及び各相手方とも6分の1である。

2  遺産の範囲

被相続人らの遺産は、別紙第1目録記載の1ないし17の不動産である。

右目録17の土地は、登記簿上の所有名義は申立人であるが、被相続人植村佳子がお金を出して買い受けたものであり、実質的な所有者は同人であると認められるので、これも遺産として考えるのが相当である。

なお、相手方川島英代及び同北山敦子は、遺産として、前記土地、建物のほかに、別紙第2目録記載の1ないし14の土地が存在する旨主張するが、第2目録2の土地は第1目録8の土地に、第2目録3及び4の土地は第1目録9の土地に、第2目録5の土地は第1目録10の土地に、第2目録6の土地は第1目録15の土地に、第2目録7の土地は第1目録5の土地に、第2目録8の土地は第1目録7の土地に、第2目録9ないし11の土地は第1目録14の土地に、第2目録12ないし14の土地は養老町○○字○△510番にいずれも換地処分されたもので、さらに右○△510番の土地と第2目録1の土地は、既に第三者に売却されていることが認められる。したがって、第1目録記載の物件以外に遺産として加えるものはない。

また、相手方川島英代及び同北山敦子は、相手方栗山啓子が被相続人植村佳子の預金を引き出し、その現金を隠匿または借りた疑いがある旨主張するが、これを認めるに足る証拠はない。

3  特別受益及び寄与分

本件遺産分割に当たって特別受益及び寄与分について考慮するべき点はない。

4  遺産の管理費用

申立人は、被相続人植村佳子の死亡後、昭和45年11月から今日に至るまで「植村家」の跡取りとして本件遺産を管理し、祭祀を主宰してきたものであり、この間、遺産管理費用として申立人が支払った種目、金額は別紙「遺産管理・祭祀主宰費用」記載のとおりである旨主張する。

申立人は、被相続人植村佳子が死亡した昭和45年11月に妻とともに植村家の本拠である別紙第1目録1の家屋に転居し、昭和63年3月17日、養老郡養老町○○×××番地の×に3階建店舗兼住宅を建て、同所で喫茶店を営むようになってからは、右家屋と別紙第1目録1の家屋を行き来し、ともに自己の居住の用に供してきた。また申立人は、別紙第1目録5、7ないし9の各土地を赤坂和良に、同目録14の土地を赤坂丈士に、同目録15の土地を赤坂寅夫にそれぞれ貸し与え、赤坂和良からは年額18497円、赤坂丈士から年額34970円、赤坂寅夫から年額9035円の使用料を受領している。

このように、申立人は遺産である不動産を自己のために使用したり、あるいはこれを第三者に貸してその果実を取得していたものであることからして、遺産である不動産の固定資産税、家屋修繕費及び庭維持費、それに要した備品購入費等は遺産管理費用と認めることはできない。ただ、別紙第1目録1の建物に付属する長屋門、石垣の高塀は歴史的価値のあるものであるからこれを管理保存したり、右建物を道路から防備するために設置したフエンスの費用は管理費用として評価し得るものである。その金額は高塀代が45万円、フェンス代が145万円である。(なお、長屋門に要した修繕費は明らかでない。)

本件遺産にかかる区費、土地改良費は遺産の管理費用として認められるところ、その金額は合計19万0056円である(甲131号ないし192号参照、ただし151号及び175号を除く)。

寺社等寄付金、近隣交際費等は別紙第1目録1の建物に居住する申立人自身のために要した費用であると認められるので遺産管理費用とすることはできない。また、墓地維持費及び法事等の費用は、いわゆる「植村家の跡取り」として同家を継いだ申立人が祭祀承継者として支出したものであるから、右費用も遺産管理費用とみることはできない。

したがって、申立人が負担した遺産管理費用額は合計209万0056円である。

5  分割の方法

遺産の分割方法について、申立人は遺産全部を取得し、相手方らには代償金を支払いたい旨希望するが、申立人にはそれだけの代償金を支払う資力はない。他方、相手方らはいずれも現物分割を希望しているので、遺産の分割は現物分割を基本とし、それによって生ずる過不足分は代償金を授受する方法をとるのが相当である。そして、相手方植村由美は千葉県柏市に、同川島英代は神奈川県鎌倉市に、同栗山啓子は東京都目黒区に同須永好子は新潟市にそれぞれ居住しているのに対し、申立人は別紙第1目録2の土地上にある同1の建物を住居として使用している。したがって、相手方植村由美及び同須永好子も右1及び2の土地建物の取得を望んでいるが、これら土地建物は申立人に取得させ、相手方らにはその余の不動産を分割するのが相当である。

ところで、別紙第1目録ないし17の不動産の評価額は合計4453万5750円であるところ、申立人が負担した遺産管理費用は209万0056円であるから、右不動産の評価額合計から遺産管理費用を差し引いた4244万5964円の6分の1である707万4282円が相続人らの各具体的相続分である。そして、申立人には右相続分に遺産管理費用として支出した209万0056円を加算した916万4338円が分割配分されることになる。

そこで、各相続人に不動産を現物分割する。

<1>  申立人は、現に居住の用に供している別紙第1目録の建物、その敷地である同2の土地、右土地に隣接し、申立人の屋敷の一部を構成する同目録10土地及び右土地に囲まれた同目録17の土地(評価額合計1564万3000円)を取得することとする。なお、右評価額合計は、申立人に配分される916万4338円より647万8662円多いので、この分は過少配分される他の相続人に対し、代償金として支払いを要することになる。代償金の支払先と金額は下記のとおりであり、その支払期限はいずれも本審判確定の日から6か月以内とする。

相手方植村由美に対し、178万4282円

同北山敦子に対し、55万1564円

同栗山啓子に対し、247万6282円

同須永好子に対し、166万6532円

<2>  相手方植村由美は、別紙第1目録14の土地(評価額529万円)を取得することとし、相続分との差額である178万4282円(707万4282円-529万円)は申立人から支払いを受けるものとする。

<3>  相手方川島英代は、別紙第1目録3、11、12及び9(評価額合計738万9000円)を取得することとし、相続分との差額である31万4718円(738万9000円-707万4282円)を相手方北山敦子に対し、本審判確定の日から6か月以内に支払うことを要する。

<4>  相手方北山敦子は、別紙第1目録5及び8の土地(評価額合計620万8000円を取得することとし、相続分との差額である86万6282円(707万4282円-620万8000円)のうち31万4718円は相手方川島英代から、その余の55万1564円は申立人から支払いを受けるものとする。

<5>  栗山啓子は、別紙第1目録7及び15の土地(評価額合計459万8000円)を取得することとし、相続分との差額である247万6282円(707万4282円-459万8000円)は、申立人から支払いを受けるものとする。

<6>  須永好子は、別紙第1目録4、6、13及び16の土地(評価額合計540万7750円)を取得することとし、相続分との差額である166万6532円(707万4282円-540万7750円)は、申立人から支払いを受けるものとする。

6  手続費用

鑑定人滝本将一に支払った鑑定費用25万円は、申立人と相手方らが法定相続分に応じて負担すべきものとする。

別紙<省略>

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